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日産パトロール逆輸入完全ガイド!新型Y63と2025年規制の壁

日産パトロール逆輸入完全ガイド!新型Y63と2025年規制の壁

こんにちは。Automotive Adventure、運営者の「TUKASA」です。

日本国内でかつて「サファリ」の名で親しまれ、無骨なオフローダーとして一時代を築いた伝説のSUV、日産パトロール。その最新モデルであるY63型がついに海外でワールドプレミアを迎え、その圧倒的な進化に心を奪われている方も多いのではないでしょうか。「日本導入は2027年以降らしい」「いや、もっと早いかもしれない」そんな噂が飛び交う中、「待ちきれないから逆輸入したい」と本気で検討している熱狂的なファンからの相談が、私の元にも数多く寄せられています。

特に今回のフルモデルチェンジは、単なるデザイン変更ではありません。エンジン、シャシー、デジタルデバイスの全てが刷新され、ランドクルーザー300を真っ向から迎え撃つ「完全なる戦闘態勢」に入っています。しかし、海外仕様のパトロールを日本で乗るためには、車両価格や輸送費といった金銭的なハードルだけでなく、右ハンドルと左ハンドルの仕様差、そして2025年から劇的に厳格化される日本の輸入車規制という、極めて高い「見えない壁」を乗り越えなければなりません。

この記事では、長年輸入車シーンを見つめ続けてきた私の視点で、新型Y63パトロールの魅力から、逆輸入にまつわるリアルなリスク、そして法規制の抜け穴と落とし穴まで、徹底的に深掘りして解説します。

この記事でわかること

  • 新型Y63パトロールの革新的なV6ツインターボスペックとY62型V8との決定的な違い
  • 実用性重視の「オーストラリア仕様」と、ステータス重視の「UAE仕様」の選び方
  • 逆輸入にかかる総費用の詳細シミュレーションと、2025年OBD検査規制の真相
  • 購入後の部品供給、メンテナンス、任意保険加入など、オーナーだけが知る国内運用の現実

日産パトロール逆輸入の価値と新型Y63の魅力

日産パトロール逆輸入の価値と新型Y63の魅力

日本では「SUVといえばランドクルーザー」という不動の地位が確立されていますが、視点をグローバルに移せば、状況は全く異なります。中東の砂漠地帯やオーストラリアのアウトバックにおいて、「砂漠の王者(Hero of All Terrain)」として君臨しているのは、紛れもなく日産パトロールです。日本では正規販売が途絶えて久しいこのモデルを、あえて高額な費用とリスクを負ってまで逆輸入しようとする行為。それは単なる「移動手段の確保」ではなく、他とは違う圧倒的な個性と、世界最高峰の悪路走破性を手に入れるための「ロマンの追求」に他なりません。ここでは、14年ぶりに刷新された新型Y63の技術的な凄みと、今だからこそ再評価すべき旧型Y62の価値、そして輸入元の国選びという最初の分岐点について、マニアックな視点で詳しく解説していきます。

新型Y63のV6エンジンと革新的スペック

2025年モデルとして華々しくデビューしたY63型パトロールは、日産が持てる技術の粋を集めた、まさに「革命的」な一台です。逆輸入を検討する上でまず理解しておかなければならないのが、その心臓部の劇的な変化です。

長年パトロールのアイデンティティであった大排気量自然吸気V8エンジン(VK56VD)がついに廃止され、新たに3.5リッターV6ツインターボエンジン(VR35DDTT)が採用されました。「V8じゃなくなったのか……」と落胆するのはまだ早いです。このVR35DDTTエンジンは、あの日産GT-Rのエンジン開発で培われた技術的知見、特に「ミラーボアコーティング」技術などがフィードバックされており、熱効率とレスポンスが極限まで高められています。

スペックを見てみましょう。最高出力は425馬力、最大トルクは700Nm。これは先代のV8エンジンと比較して、出力で約7%、トルクに至っては25%もの向上を果たしています。特に重要なのはトルクの立ち上がり方です。ツインターボ化により、低回転域から強烈なトルクが発生するため、重量級のボディを軽々と、それこそスポーツカーのように加速させます。実際に現地での試乗レポートなどを見ても、「V8の不在を感じさせないどころか、完全に凌駕している」という評価が支配的です。

新型Y63パワートレインの革新ポイント

  • 圧倒的なパワーアップ: 425馬力/700Nmという数値は、ライバルであるランクル300ガソリン車(415馬力/650Nm)をカタログスペック上で上回ります。
  • 9速ATの採用: 従来の7速ATから多段化された9速オートマチックトランスミッションは、クロスレシオ化によりエンジンのパワーバンドを常にキープし、燃費性能と静粛性を両立させています。
  • Eシフターの操作感: センターコンソールには従来のシフトレバーがなく、先進的なピアノボタン式のEシフターが採用され、インテリアの未来感を演出しています。

さらに、シャシー面での進化も見逃せません。パトロール史上初となる「アダプティブ・エアサスペンション」が採用されました(上位グレード)。これにより、通常走行時は車高を下げて空力と乗降性を向上させ、オフロードモードでは車高を上げて障害物をクリアするといった芸当が可能になりました。オンロードでの乗り心地も、まるで魔法の絨毯のように滑らかになり、高級サルーンからの乗り換えでも不満を感じることはないでしょう。

インテリアにおいては、ダッシュボードに鎮座する28.6インチの巨大な「モノリス」ディスプレイが圧巻です。2つの14.3インチ画面がシームレスに繋がり、Google Built-inシステムによるナビゲーションやエンターテインメント情報が鮮やかに表示されます。また、赤外線センサーで乗員の体温を検知して空調を自動調整する「バイオメトリック・クーリング」など、世界初の機能も満載。Y63は、単に速くて強いだけでなく、世界で最も快適で先進的なSUVへと進化を遂げたのです。

Y62最終型V8エンジンの希少性と中古相場

新型Y63が登場したことで、逆説的に価値が急上昇しているのが、先代モデルであるY62型です。その理由は極めてシンプルかつ情熱的なものです。それは、「大排気量自然吸気V8エンジンを搭載した最後のパトロール」であるという事実です。

Y63に搭載されたV6ツインターボは、確かに速く、効率的で、スペック上は全てにおいて上回っています。しかし、自動車という乗り物には、数値には表れない「官能性能」というものが存在します。5.6リッターという巨大な排気量から繰り出される、あふれんばかりのトルク感。アクセルペダルとタイヤが直結しているかのようなリニアなレスポンス。そして、高回転まで回した時に響き渡る、猛獣の咆哮のようなV8サウンド。これらは、効率を追求したダウンサイジングターボエンジンでは決して再現できない、内燃機関の到達点とも言える魅力です。

現在、中東やオーストラリア市場の一部では、2025年モデルとしてY62型(PATROL CLASSICなどの名称で)が併売されているケースや、最終在庫が販売されているケースがあります。これは、新車のコンディションでV8パトロールを手に入れる、文字通り「ラストチャンス」です。

中古車市場と「最終型」需要の動向

現在、日本国内の並行輸入車市場や、海外の中古車サイトにおいて、Y62の中古相場は「最終型需要」で高止まりする傾向にあります。特に低走行の最終モデルや、オフロード性能を高めた特別仕様車は、今後コレクターズアイテムとして価格が高騰する可能性すらあります。

日本のユーザーにとってY62は、Y63よりも導入コスト(車両価格)を抑えられるという経済的なメリットに加え、14年かけて熟成された「枯れた技術」による圧倒的な信頼性も魅力です。電子制御満載のY63に不安を感じるハードコアなオーバーランダーたちにとって、Y62は依然として最適解であり続けています。

オーストラリア仕様の右ハンドルを選ぶ利点

逆輸入を具体的に進める段階で、最初に直面する大きな決断が「どこの国から輸入するか」という問題です。世界中で販売されているパトロールですが、日本で乗ることを前提とするならば、私が個人的に、そして強く推奨するのは「オーストラリア仕様」です。

その最大の理由は、議論の余地なく「日本と同じ右ハンドル(RHD)であること」です。これに尽きます。「左ハンドルの方が外車っぽくてカッコいい」という意見も理解できますが、日本の狭い道路事情や交通インフラにおいて、右ハンドルのアドバンテージは計り知れません。

想像してみてください。休日の混雑したショッピングモールの駐車場発券機、ドライブスルーでの注文、そして片側一車線の道路でバスやトラックを追い越そうとする瞬間。左ハンドル車では、これら全ての日常的なシーンでストレスや危険を感じることになります。特にパトロールのような全幅2メートルを超える巨体で、対向車線側の状況が見えないまま追い越しをかけるのは命がけの行為です。右ハンドルのオーストラリア仕様であれば、これらのストレスから完全に解放され、純粋にドライビングを楽しむことができます。

さらに、オーストラリア市場には独自の魅力があります。現地のエンジニアリング会社Premcarが日産と共同開発した「Warrior(ウォーリア)」という特別仕様車の存在です。これは単なるドレスアップモデルではありません。オーストラリアの過酷なアウトバックを走破するために、専用のリフトアップサスペンション、大径オールテレーンタイヤ、堅牢なアンダーボディプロテクション、そして迫力あるサイド出しエキゾーストシステムなどを装備した、メーカー保証付きのコンプリートカーです。

特徴オーストラリア仕様 (Warrior等)中東・北米仕様
ハンドル位置右 (RHD) - 日本に最適左 (LHD) - 不便・危険あり
ヘッドライト左側通行用 (そのまま適合可)右側通行用 (要加工・交換)
リセール国内需要あり、値落ちしにくい正規導入後、価値が暴落する恐れ

このように、実用性、安全性、そして将来的な資産価値(リセールバリュー)の観点から見ても、オーストラリア仕様は日本でパトロールに乗るための最も賢明で合理的な選択肢と言えるでしょう。

左ハンドルのUAE仕様と国内での注意点

オーストラリア仕様の優位性を説きましたが、それでもなお、パトロールの最大市場であるUAE(アラブ首長国連邦)仕様には無視できない魅力があります。それは、圧倒的な「在庫の豊富さ」と「新型導入の早さ」、そして左ハンドル車が持つ独特の「ステータス性」です。

世界で最も早く新型Y63が出回るのは、間違いなく中東市場です。日本やオーストラリアへの導入が遅れている間も、ドバイのショールームには最上級グレードの「Platinum」や「Titanium」が即納状態で並んでいます。「誰よりも早く新型に乗りたい」というタイム・イズ・マネーの価値観を持つ富裕層にとって、このスピード感は何物にも代えがたい価値です。また、日本では「輸入車=左ハンドル」という認識が依然として根強く、あえて不便な左ハンドルに乗ることが、一種のファッションやステータスシンボルとして機能する側面も否定できません。

しかし、UAE仕様を日本に持ち込むには、相応の覚悟とコストが必要です。

UAE仕様(左ハンドル)輸入の重大なリスク

  • ヘッドライトの配光問題: UAEは右側通行のため、ヘッドライトのロービームが「右上がり」にカットされています。そのまま日本で走ると対向車を強烈に眩惑させてしまうため、車検には絶対に通りません。日本の基準(左上がり)に合わせるには、高額なヘッドライトユニットの交換や、専門業者による殻割り加工が必須となります。
  • 運転の危険性: 先述の通り、追い越し時の視界確保が絶望的です。また、交差点での右折待ちの際、対向直進車が見えにくく、事故のリスクが格段に高まります。
  • ナビ・通信の不適合: 現地の通信キャリアに紐付いたeSIMやコネクテッド機能は、日本ではローミングできない可能性が高く、Google Built-inの機能が制限される恐れがあります。

UAE仕様を選ぶということは、これらの実用上の不便さと、車検適合のための数百万円規模の追加コスト(改善費用)を許容するということです。「輸入車らしさ」を極めるならUAE仕様ですが、日常の足として使うには、相当な愛と忍耐力が試される選択であることを忘れないでください。

ランドクルーザー300との比較とサイズ感

パトロールの購入を検討する際、避けて通れないのが、永遠のライバルであるトヨタ・ランドクルーザー300(LC300)との比較です。両車は同じセグメントに属し、高い悪路走破性とラグジュアリー性を兼ね備えていますが、そのキャラクターとサイズ感には決定的な違いがあります。

最も大きな違いは、そのボディサイズです。パトロールY63は、ランクル300よりも明確に一回り大きく設計されています。

比較項目日産パトロール Y63ランドクルーザー 300 (ZX)差分
全長5,350mm4,985mm+365mm
全幅2,030mm1,980mm+50mm

この数値の違いは、日本の道路事情において決定的な意味を持ちます。全長5.3メートル超え、全幅2メートル超えというサイズは、日本の一般的な駐車場枠(長さ5m×幅2.5m程度)からはみ出す可能性が非常に高いです。古いコインパーキングや、都心の機械式駐車場などはほぼ絶望的と言っていいでしょう。日常的に行くスーパーやコンビニの駐車場ですら、隣の車にドアをぶつけないよう細心の注意を払う必要があります。

しかし、この規格外のサイズこそが、パトロールの最大の武器でもあります。ランクル300では窮屈と言われる3列目シートも、パトロールなら大人が快適に座れるスペースが確保されており、真の多人数乗車SUVとして機能します。そして何より、ランクル300と並んだ時に感じる「格の違い」のような威圧感、プレステージ性は、レクサスLX600にも匹敵、あるいは凌駕するものです。「誰とも被りたくない」「とにかくデカくて強い車がいい」という欲望に対して、パトロールY63は120%の回答を用意してくれています。

また、入手難易度も大きな違いです。ランクル300は正規ディーラーで買えますが、納期は数年待ち、あるいは受注停止が常態化しています。一方、パトロールの逆輸入は、資金さえあれば数ヶ月で手に入ります。この「即納性」も、時間を買う層にとってはランクル以上の魅力となるでしょう。

日産パトロール逆輸入の費用総額と規制の壁

日産パトロール逆輸入の費用総額と規制の壁

夢のある話をしてきましたが、ここからは現実的な「お金」と「法律」の厳しい話もしなければなりません。逆輸入車を日本で走らせるためには、単に車両代金を払えば良いわけではなく、日本の厳しい保安基準に適合させるための複雑な手続きと、それに伴う多額の費用が発生します。さらに、2025年は日本の自動車検査制度における大きな転換点であり、生半可な知識で手を出すと、最悪の場合「ナンバーが取得できない鉄の塊」を抱えることになりかねません。

乗り出し価格と輸入にかかる費用の総額

「車両価格が現地で1,200万円なら、1,300万円くらいで乗れるでしょ?」そんな甘い見積もりは、今すぐ捨ててください。逆輸入には、見えないコストが山のように積み重なります。

まず、UAEからY63パトロール(上級グレード)を輸入する場合のコスト構造を詳細にシミュレーションしてみましょう。仮に現地のFOB価格(車両本体価格)が320,000 AED(1 AED = 40円換算で約1,280万円)だとします。

項目概算費用 (万円)備考
車両本体価格 (FOB)1,280為替レートにより大きく変動
海上運賃・保険 (CIF)40〜50中東→横浜のコンテナ輸送費高騰中
消費税 (10%)132CIF価格に対して課税されます
通関手数料・取扱料10乙仲業者への支払い
排ガス・騒音試験費用35〜50同型枠がない場合の新規試験費用
予備検査・改善費用30〜50灯火類加工、直前直左対策など
環境性能割・重量税等40〜50燃費基準未達成車は税率が高い
輸入代行手数料60〜100業者による(車両価格の5〜10%)
乗り出し総額約1,630〜1,700車両価格 + 約400万円

このように、車両本体価格に対して約350万円〜400万円の上乗せコストが発生すると見ておくべきです。総額で1,700万円クラスとなると、ランクル300 ZX(約800万円〜)の2倍近い予算感となります。さらに円安が進めば、この金額は青天井で上昇します。この莫大なコストを、「日本未導入の最新モデルに乗る」というプレミアムチケット代として許容できるかどうかが、最初のハードルとなります。

2025年OBD検査義務化と登録の難関

これから逆輸入を検討する方が、費用以上に警戒しなければならないのが、「2025年10月1日」という日付です。この日から、輸入車(新型車)に対する「OBD検査(車載式故障診断装置検査)」が完全義務化されます。

OBD検査とは、車検時に専用のスキャンツールを車両のポートに接続し、運転支援装置や排ガス対策装置に電子的な故障記録(DTC)がないかをサーバーと照合して合否を判定する制度です。ここで、「並行輸入車はどうなるのか?」という大きな疑問が浮かび上がります。

結論から言うと、現在の制度設計において、「並行輸入車(型式不明車)は、当面の間OBD検査の対象外」とされる可能性が高いです。これは、並行輸入車は日本の型式指定を受けておらず、照合すべき技術データが日本の独立行政法人自動車技術総合機構(NALTEC)のサーバーに登録されていないためです。

「なんだ、対象外なら安心だ」と思いましたか? いいえ、ここに大きな落とし穴があります。OBD検査が対象外であったとしても、それは「車検時の電子検査が免除される」だけであり、「日本での新規登録(ナンバー取得)が簡単になる」わけではありません。

これからの並行輸入車を待ち受ける「別の壁」

  • 加速走行騒音規制の厳格化: 最新のフェーズ3規制などは非常に厳しく、特に大径オフロードタイヤを履いたパトロールなどは、タイヤノイズだけで不合格になるリスクがあります。
  • サイバーセキュリティ法規(UN-R155/R156): 車両のハッキング対策やソフトウェアアップデートに関する国際基準への適合証明が求められるケースが増えており、個人レベルの並行輸入ではこの証明書類を用意できず、登録そのものが門前払いになるリスクが高まっています。
  • メーカーによるプロテクト: 最新車両はセキュリティゲートウェイ(SGW)により、汎用診断機でのアクセスをブロックしています。日本の整備工場で故障診断すらできない事態が頻発しています。

OBD検査自体は「対象外」という特例措置で切り抜けられたとしても、それ以外の法規制や技術的なプロテクトが年々強化されており、並行輸入車の登録難易度は過去最高レベルに達しています。この辺りの最新情報は、必ず公的な情報を確認してください。

(出典:独立行政法人自動車技術総合機構『OBD検査ポータル』

日本の車検に適合させるヘッドライト加工

左ハンドルのUAE仕様や北米仕様(アルマダ)を輸入する場合、物理的に避けて通れない最大の難関がヘッドライトです。繰り返しになりますが、これらの国は右側通行であり、ヘッドライトの配光(ロービームのカットライン)が「右上がり(右側の路肩や標識を照らす形状)」になっています。

これをそのまま左側通行の日本で走らせると、対向車のドライバーの目に直接光を浴びせることになり、極めて危険です。当然、日本の車検基準(すれ違い用前照灯の計測)には100%通りません。一昔前のハロゲンランプならバルブ交換で済みましたが、Y63のような最新鋭のLEDマトリクスヘッドライトやアダプティブハイビーム搭載車の場合、話はそう簡単ではありません。

解決策は主に2つです。

  1. 殻割り加工: ヘッドライトユニットを分解(殻割り)し、内部の遮光板(シェード)を物理的に加工して配光を左上がりに作り変える。費用は数万円〜十数万円ですが、防水性能が落ちて水漏れしたり、光軸が安定しなくなるリスクがあります。
  2. ASSY交換: 右ハンドル国(オーストラリアやイギリス等)の純正ヘッドライトユニットを取り寄せて丸ごと交換する。最も確実ですが、最新のLEDヘッドライトは片側だけで30万円〜50万円することも珍しくなく、部品代だけで100万円近く飛ぶ可能性があります。

並行輸入業者が提示する「乗り出し価格」に、このヘッドライト対策費用が含まれているか、それとも簡易的な対策でお茶を濁そうとしているか(今の車検では通用しません)、厳しくチェックする必要があります。

購入後の維持費と任意保険の加入問題

苦労してナンバーを取得した後も、逆輸入車オーナーには「運用」という名の戦いが待っています。その一つが「任意保険」です。車検証の型式欄に「フメイ(不明)」と記載される並行輸入車は、リスク計算ができないという理由で、ソニー損保やアクサダイレクトといったネット完結型のダイレクト自動車保険では、加入を断られるケースがほとんど(ほぼ全滅)です。

加入するには、東京海上日動や三井住友海上といった大手損保の「代理店」を通じて、個別に交渉する必要があります。その際、車両の購入価格を証明する書類(インボイスや売買契約書)の提出を求められたり、車両保険の協定価額が希望通りに設定されなかったりすることも多々あります。「車は買ったけど保険に入れない」という最悪の事態を避けるため、購入前に必ず保険代理店に相談しておくことが鉄則です。

メンテナンスの「入庫拒否」リスク

もう一つの壁がメンテナンスです。日本全国にある日産ディーラー(レッドステージ/ブルーステージ等)に行けば診てもらえると思っていませんか? 残念ながら、多くの正規ディーラーは並行輸入車の入庫を断ります。整備マニュアルがない、日本の診断機が海外仕様車に対応していない、そして何より「改造車扱い」によるコンプライアンス上のリスクを嫌うからです。

そのため、パトロールの面倒を見てくれる、技術力のある「専門ショップ」や「理解のある整備工場」を自力で開拓しなければなりません。消耗品一つ(オイルフィルターやブレーキパッド)交換するにも、部品番号を調べて海外から個人輸入する必要が出てくるでしょう。

さらに、Y63のウリであるGoogle Built-inシステムも、通信モジュールが現地のキャリアにロックされている場合、日本では「オフライン状態」になります。Googleマップは更新されず、音声アシスタントも使えない、ただの巨大なモニターになるリスクも覚悟しなければなりません。

日産パトロール逆輸入は正規導入を待つべきか

ここまで、逆輸入の魅力と、それを上回るかもしれないリスクについて包み隠さずお話ししてきました。最後に、私「TUKASA」としての個人的な見解、そして提案をお伝えします。

もしあなたが、「2027年頃」と噂されている日本正規導入まで待てる時間的余裕があり、かつ「普通の車」として安心して乗りたいのであれば、間違いなく「待つ」のが正解です。日本仕様はおそらく右ハンドルで、日本の法規制に完璧に適合し、ナビも日本語で使え、全国の日産ディーラーで手厚い保証と整備が受けられます。価格も、逆輸入の総額(1,700万円)よりは安く、1,200万円〜1,400万円程度に設定されると予想されます。

しかし、もしあなたが「理屈じゃないんだ、今すぐあの砂漠の王者に乗りたいんだ」という情熱の塊であり、「誰も乗っていない車で街を流す優越感」に数百万円のエクストラコストを払えるのであれば、逆輸入という選択は、あなたの人生を彩る最高の冒険になるでしょう。

その場合の最適解は以下の2つです。

  • リスクを最小限に抑えたいなら: 「オーストラリア仕様(右ハンドル)」一択です。日本の道路環境に適合し、リセールバリューも維持しやすい最強の実用車となります。
  • 歴史的遺産を手に入れたいなら: 新型Y63ではなく、あえて「Y62型最終モデル(V8)」を確保することです。これは今後二度と生産されない「大排気量NAの絶滅危惧種」であり、投機的な価値も含めて所有する喜びは計り知れません。

日産パトロール逆輸入に関するまとめ

日産パトロール逆輸入に関するまとめ

今回は、日産パトロールの逆輸入について、新型Y63のスペックから、費用、法律、そして維持管理のリアルな実態まで、徹底的に解説してきました。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。

  • 革命的進化: 新型Y63は3.5L V6ツインターボ(425馬力)と9速AT、エアサスを搭載し、性能面でV8時代を完全に過去のものにした。
  • 狙い目は豪州仕様: 右ハンドルのオーストラリア仕様は、日本の道路事情に最適で、ヘッドライト加工も不要なため、最も賢い選択肢である。
  • 費用の現実: 乗り出し価格は車両価格+400万円(総額1,600〜1,700万円)を見込む必要があり、正規導入予想価格より大幅に割高になる。
  • 規制の壁: 並行輸入車は2025年OBD検査の対象外となる可能性が高いが、加速騒音規制やサイバーセキュリティ法規など、登録のハードルは依然として高い。
  • 覚悟が必要: 正規ディーラーでの整備拒否や保険加入の難しさなど、オーナーには高いリテラシーと「愛」が求められる。

パトロールの逆輸入は、単なる車の購入ではなく、一つの壮大なプロジェクトです。しかし、その苦労を乗り越えて手にしたステアリングから見える景色は、他のどの車とも違う特別なものになるはずです。信頼できるプロフェッショナルなパートナー(輸入代行業者)を見つけ、あなただけの最高のカーライフを実現してください。

※本記事に掲載されている価格、スペック、法規制に関する情報は執筆時点(2025年)のものであり、為替レートの変動や法改正により変更される可能性があります。輸入に関する最終的な判断は、専門の業者や行政機関にご相談の上、自己責任で行ってください。

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